麻紀、遥、薫子。三人とも、相手を信じたい気持ちと、目の前の現実のあいだで揺れている。第9話は恋愛の修羅場であると同時に、友情と本音がぶつかり合う回でもありました。
晃之助を信じたい遥
遥の前に現れた女性は、最初は晃之助の妻だと言います。晃之助は「もう別れた元カノ」だと説明する。ところが実際には、その女性と晃之助は今もシンガポールで一緒に暮らしています。
女性は、晃之助から生活費をもらっていて、仕事も辞めている。見捨てられたら生活していけない、と話し、遥に「5年後のあなたは私」と言います。さらに、晃之助にはこれまでにも複数の女性がいて、別れたいときには自分が間に入って関係を終わらせてきた、と明かす。
一方の晃之助は、「彼女とはもう別れている。でも、彼女が出て行かない」と説明する。彼女とのことが片付いたら、遥とのこれからを考える、とも言う。
どちらの話が本当なのかは、まだ確定していません。ただ、内縁の妻の言葉のほうが具体的です。生活費、仕事を辞めたこと、過去のパターン、「5年後のあなたは私」。これは単なる嫉妬というより、長い時間を一緒に過ごしたからこその警告に聞こえます。
遥は晃之助を好きだから、彼を信じたい。ジェントルマンで自分を特別扱いしてくれる人を、簡単には疑えない。でも、10年一緒に暮らしてきた女性から見えている晃之助と、遥が見ている晃之助は、同じ人間の別の顔かもしれません。信じたい気持ちが強いほど、そのズレは危険に見えます。
誠実な夫は、浮気をしたのか
麻紀の夫・宗司は、取引先の女性・凪子から猛烈にアプローチされています。妻がいることを知りながら「奥さんがいてもいいから付き合って」と迫られる。宗司は最初、「妻と子供、家庭が一番大事だから付き合えない」ときっぱり断ります。ここだけを見ると、やっぱり宗司は誠実な人に見えます。
ところが、「そういう誠実なところが好き」と言われたあと、宗司は「じゃあ、ちょっと休んで行こうか」と言う。帰宅した宗司はすぐに洗面所へ向かい、麻紀から「なんでこんなに遅いの?」と怪しまれます。
浮気をしたのかどうかは、はっきり描かれていません。もともと誠実な男として描かれているからこそ、「実はしていないのでは」とも思える。ただ、「休んで行こうか」と言った時点で、誠実さの定義はすでに揺れています。
麻紀はその女性に直接連絡します。「夫とどういう関係ですか?」。返ってきたのは「奥様のご想像どおりの関係」。これを聞いた麻紀は興信所を考えます。
「もう遅い」と言う薫子
薫子は、夫・義孝との生活に限界を感じて家を出ます。保護猫を返してこいと強引に言われたこと。子供のことがダメになってまだ日が経っていないのに「妊活しよう」と言われたこと。薫子が苦しかったのは、意見の不一致そのものより、自分の気持ちを見てくれないことでした。
薫子は離婚届を置いて家を出ます。義孝は別れたくないから歩み寄ろうとする。でも薫子は「もう遅い」と言う。今になって優しくされても、欲しかったのは家を出る前に自分の苦しさを分かろうとしてくれることでした。一緒にいるときに言ってほしかった言葉を、今更言われてもうまくいきません。それまで気持ちに向き合ってくれなかったことが、先に思い出されてしまうからです。
薫子の「もう遅い」は、怒りというより諦めに近い言葉です。
友達だからこそ言えること、言われたくないこと
麻紀、遥、薫子が居酒屋に集まります。最初に口を開いたのは麻紀でした。「マジで最悪」と荒れて、宗司の件で興信所をつけると宣言する。証拠が取れたら慰謝料を取って、相手の女性は社会的に抹殺する、とまで言う。
遥は「勘ぐり過ぎ」と止め、薫子は「まずは旦那と話したほうがいい」「興信所がバレたら夫婦関係がおかしくなる」と止める。すると麻紀は、興信所を探している時点でもう関係はおかしくなっている、と言い、薫子は「おかしくなっているのは麻紀のほうだ」と返す。
そこから麻紀は薫子の家出と一方的な離婚届まで持ち出す。「話し合わずに出ていった人に、話し合いを語られたくない」。遥は止めに入るけれど、火はすでに三人のいちばん弱いところへ落ちています。
最初は麻紀の疑いの話だったはずが、薫子の離婚、そしてそれぞれの不満まで一気に噴き出す。友達の恋愛や結婚には客観的なことが言えても、自分のことになると素直には受け止められない。仲が良かったからこそ、相手の痛い場所も知っている。だからその言葉は、余計に刺さります。
誰か一人だけが悪いようには見えません。麻紀は疑いつつ、まだ宗司を信じたい。遥は晃之助を信じたい。薫子は義孝との関係を終わらせたい。立場が違う三人の「心配」が、相手のいちばん痛い場所をついてしまっただけです。
まとめ|答えが出ていない人同士だから、助言が傷になる
三人とも、恋愛や夫婦関係に悩んでいます。でも誰もまだ、自分の問題に答えを出せていません。だから「あなたはこうしたほうがいい」と言われても、素直には聞けない。
友達だから何でも分かり合えるわけではない。心配して言った言葉でも、相手にとっては傷つく言葉になる。自分が傷ついているときほど、人の言葉を冷静に受け止めるのは難しい。
三人の関係がこのまま終わるのか。一度ぶつかったことで、今まで言えなかったことを言えるようになるのか。それぞれの恋愛だけでなく、三人の友情がこれからどうなるのかも気になります。表面的な「ズッ友」で止まっていた部分が、ようやく本音の層まで降りた回でした。次に会うとき、その言葉が距離になるのか、「あのとき言えてよかった」に変わるのか。そこが、恋愛の行方と同じくらい見どころだと思います。
番組情報
番組名:Tokyo middle 30
放送回:第9話「疑心暗鬼」(2026年9月16日放送)
放送:フジテレビ系 毎週水曜よる10時(22:00〜22:54)
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/middle30/
出演:仲里依紗、のん、深川麻衣、渡辺大知、朝井大智、中島颯太、風間俊介 ほか
原作:Chinese Drama by Linmon Pictures『Nothing But Thirty』(『30女の思うこと〜上海女子物語〜』)
脚本:北川亜矢子
主題歌:ふみの「東京」(NO LABEL ARTISTS / UNIVERSAL MUSIC)
制作著作:フジテレビジョン

